2010年11月アーカイブ

2010年11月25日

事業承継~無議決権株~

相続発生時に事業承継を考えている場合、「無議決権株」を利用するのも一つの選択肢となります。

例えば、子が数名おり、1名のみに事業の承継を考えているような場合、生前に会社の株式を議決権のある株式と議決権のない株式に分けておきます。

そして将来相続が発生した時には、議決権のある株式を事業を継ぐ者に相続させ、それ以外の相続人には、無議決権株を相続させるという方法です。

また、「無議決権株」を従業員に譲渡することにより、経営の支配権を維持したまま相続財産を減少させるという方法も可能になります。

 

 

 

2010年11月18日

遺産分割前の財産の管理

相続財産に賃貸物件など、管理が必要な財産があるが遺産分割が確定していない場合でも財産の管理は必要となります。

その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人の共有に属するものとされており、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものと解されます。

したがって、特定の人が所得を管理しているような場合であっても各相続人がその法定相続分に応じて収入を申告することになります。

また、管理費、固定資産税などの支出についても、遺産分割が確定するまでは、相続人全員が相続分に応じて負担すべきものとなります。

この費用の支出については、原則的には相続財産から支出することも可能です。

相続人のうち特定の人が、支払っている場合には、遺産分割の際に債務として清算することとなります。

 

 


 

2010年11月10日

負担付贈与

ローン残高のある不動産など、債務の弁済を条件とした財産の贈与を「負担付贈与」といいます。

負担付贈与により財産の贈与を受けた場合には、その贈与を受けた者は、財産の価額から債務の額を控除した価額に対して贈与税が課税されます。

 

課税価額

土地や借地権あるいは家屋や構築物の場合

 贈与財産の通常の取引価額(時価)からその負担の額を控除した価額

贈与財産が土地や借地権などの財産以外あるいは家屋や構築物などの財産以外の場合

 贈与財産の相続税評価額からその負担の額を控除した価額


負担付贈与を行った場合にも相続時精算課税制度を利用できます。

ただし、債務の弁済を条件に財産を贈与した側に対して、その負担の価額により譲渡があったものとみなして、所得税法において譲渡所得が課税されます。

2010年11月 2日

遺留分減殺請求と生命保険金

兄弟姉妹などの相続人が複数いる場合に、1名のみが受取人となった死亡保険金がある場合。

 

平成2年の最高裁の判例では「保険金は特別受益には当たらない。相続対象外であり、受取人が全額受領してよい」との判決が出ています。

また、平成14年の判決でも「遺贈又は贈与に属していたものとみなすこともできないため、遺留分減殺請求の対象にならない」としています。

したがって、事業承継の問題で兄弟姉妹のうち、1名のみに遺産全てを相続させるために、遺留分減殺請求、代償分割に備える資金対策として生命保険を活用する場合でも保険金の受取人を直接に他の兄弟姉妹の名にしても「相続財産」としては認められませんのでご注意ください。

 

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